櫻イミト

モルグ街の殺人の櫻イミトのレビュー・感想・評価

モルグ街の殺人(1932年製作の映画)
3.5
「魔人ドラキュラ」(1931)「フランケンシュタイン」(1931)が大ヒットしたユニバーサル社が、次に公開したゴシック・ホラー。史上初の推理小説とされる同題のポー原作(1841)を大幅に翻案。

1845年パリ。医学生ピエールは恋人カミーユと見世物小屋に行く。”猿人類”と銘打った出し物に登場したのは、ミラクル博士(ベラ・ルゴシ)とゴリラのエリック。博士は進化説を論じゴリラと人間の雑種動物の創造を宣言する。その頃、街では女性の変死が相次ぎ、ピエールは死体安置所(モルグ)で彼女らを検死。恐るべき事実をつきとめる。。。

猟奇的な設定の意欲作だった。クライマックスのゴリラと美女の屋根づたいの逃走劇は翌年の「キングコング」(1933)を先取りしている。しかしベラ・ルゴシの登場シーンの少なさ(検閲により殺人シーンなど大幅にカットされたらしい)、そしてBGMの少なさにより少々盛り上がりに欠けたのが惜しい。

映像的な見どころは多く意外に知られてない秀作と言える。

※ロバート・フローリー監督MEMO
・パリ出身でルイ・フイヤード監督の助監督を務めていた
・「フランケンシュタイン」に脚本参加
・代表作は本作と「五本指の野獣」(1947)
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