せいか

ノートルダムの鐘のせいかのレビュー・感想・評価

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
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11/24、テレビの金曜ロードショーで放映されていたものを視聴。吹替版。
以降、辛辣な感想になる。

原作のほうがかなり好きなので、(ディズニー作品が基本的にマジで嫌いなのは置いといても)いつか観ようとは思ってた作品。うっすら情報得る前からどうせだいぶ手が入れられてるんだろなとかは思ってはいたけど、それでもまあ、一個の作品として何かプラスアルファはあるだろうという期待も(ディズニー作品が嫌いなので)期待もしてなかったが、マジで徹頭徹尾原作のキャラクターや作品世界の在り方もテーマも無視してディズニーナイズドされていた上に、そうするならそうするにしたってキャラクター造詣もライトなところに終始して何もなく、なんだこれはタイムであった。アメリカ的大衆娯楽作品ですに尽きる。
美術は安定してすごい。

あと、フロローがキモいとよく言われてて、それは原作からしてまああの一方的に迷走してるのとか、少なくとも原作からで言えば彼はエスメラルダの外面から惚れて狂った男のなので、女を女としてしか見ずにそこに個人がいることは無視した乱暴さ、上からの抑圧的態度を取ったりとかするわけで、そういう意味でのキモさという意味では(補足しつつ観ることで)分かるけれど、その立ち居振る舞いのとこもキモい言われてて、そこまでそうならどんなもんなのかな?と思ってたけど、そこは別にそこまであげつらって嗤われるほどのキモさはなかったと思うので、多分、人様が言う彼の振る舞いのキモさとやらは、総合的に捉えてその人の何もかもがキモく感じるという雑な感想としての「キモい」ってやつだったんだなあと思った。なかなか残酷だなと思った。確かにいきなり距離詰めてくるのが嫌とかは分かるけども。
ただ、ミュージカルナンバー「地獄の炎」でラテン語まで使いつつ(mea culpa)ある程度原作の造詣に少しだけ寄った彼についての深堀りがされてもいて、この箇所に関してのみ、『ノートルダムの鐘』を元にした作品らしさは出ていると言える……のかもしれない……うがぐぐ。ここにしたってもっと焦点当てて作劇してくれたらなと思うばかりだった。他の点でも言えることだけど、苦しみと向き合ってくれ。

テーマも、多分、コミュニティーから外される者とか、支配者(ないし男)の抑圧とか、外へ出よう!とかなんかそのへんなのだと思うけど、やはりどこも深掘りはしないので観ててなんも思わん。びっくりするくらい何も思わん。
あと、怪物とはみたいなテーマがあるんやよみたいなのも前々から聞いてて、頭の中で原作から補足しつつ、なるほどねと思ってたけど、実際観てみるとやっぱそのへんもあくまで作品上ではかなり浅いとこでやってたので、なんだかなと思った。
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