ピタゴラ侍

ノートルダムの鐘のピタゴラ侍のレビュー・感想・評価

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
4.5
社会風刺の内容も含まれており、色んなことを考えさせられ、いい意味で「ディズニーらしくない」結末で心に残る作品となった。
ディズニーの好きな映画ベスト3には入らないけど、ディズニーの他人に勧めたいランキングには2位にランクインする作品となった(1位はズートピア)。
この作品は多くの方々に見てほしいし、色んなことを感じ取ってほしい。

①ストーリー 9/10
途中まではディズニーでありがちな勧善懲悪ではあるものの、悪者を倒した後の主人公カジモドの行動にびっくり。思わず声を出してしまった。

②キャスト 7/10
吹替の声優1人も知らなくて、調べたところほぼ全キャラ劇団四季の方がキャスティングされていた。特に大きな違和感もなかったし全員歌上手いので文句なし。

③映像 10/10
1996年でこれだけ綺麗なのは凄い。特にカジモドとエスメラルダが大聖堂をアクロバティックに飛び渡るシーンは躍動感があるだけでなく、細部までしっかりと描かれていて印象に残った。
世間でもオープニングの映像は絶賛されている模様。

④キャラ 9/10
主人公が優しすぎる。最後彼がとった自分の幸せより他人のことを考える行動なんてもう、見てるこっちが悲しくなる。
ヒロインのエスメラルダも惚れてしまう美しさ、妖艶さを持っている。ただ、キスを簡単にするのは良くない。主人公が勘違いしてしまう。
隊長も正義感が強く誠実で勇敢で魅力的な人物としてキャラが立っているし、最後ハグしたように終盤になるにつれて生まれる主人公との絆も良かった。
ガーゴイル像3人組もいい味出してる。ライオンキングでいうティモンとプンバァみたいな、こういう主役でないけど愛されるキャラが多いのもディズニーの魅力の一つだと思う。

⑤メッセージ性 10/10
テーマは「対等とは」だと思った。差別用語が頻繁に出てくるように人種についてもそうだし、主人公は体の病気で、今でも話題となっている「ルッキズム」という考え方含め見た目についてにも焦点をあてている。そんな中、どんな立場でもどんな人種でもどんな見た目でも対等に接する、または友達として受け入れるキャラが主人公サイドとして魅力的に描かれている。対象に敵キャラは差別主義者ではあるが、昔だとそんな考え方を持っている人はいくらでもいただろうし、今も心の底では同じように差別している人はいると思う。特に見た目で態度を変える人ってまだまだいるのではないか。

(ここから若干ネタバレ注意)
結末も「なんだ、結局人間見た目かよ」なんて思ったけど、他の人の「エスメラルダが隊長を選んだのは、主人公とは同じ虐げられる立場に対して、将来を約束されている上の立場の人が下とみなされている人種の自分達と対等に戦ってくれたから、隊長の存在はエスメラルダの希望そのもの」という考察をみてしっくりきた。

子供の時はキャラクター可愛い!歌素敵!なんて思ってたディズニー映画は、色んなこと考えちゃって昔のように純粋な気持ちでただ楽しむことが出来なくなってしまった。これが大人になるということか。