結局カレー

ノートルダムの鐘の結局カレーのレビュー・感想・評価

ノートルダムの鐘(1996年製作の映画)
3.6
生まれ持った容姿やルーツに対する差別が真正面から描かれるディズニー作品の中でも異色の作品。

育ての親であるフロローに「醜い」と刷り込まれ続け、世間に出れば虐められるという脅しに怯え、言いつけ通り塔に閉じこもるカジモド。パリの街中に響かせる鐘を鳴らすためだけに鍛えたられた肩と腕が(後々役立つことになるけれど)一層彼の孤独を引き立て切なくなる。閉ざされた世界で自分を愛することってめちゃくちゃ難しいよなって強く共感したし勇気を出して参加した祭りでも醜いと笑われ大衆に踊らされゴミを投げつけられたのは惨すぎた。空気にのまれて態度を二転三転する大衆の怖さよ。

そんなめちゃくちゃやるせない世界の中で自分を貫くエスメラレルダが本当にかっこいい。大衆の前で「黙れ!」と言われて「黙らない!」って返せる強さ、今ならそれがいかに難しいかわかる。こんなに逞しく優しく美しい女性だとそりゃ何もかもが違う3人の男だってみな惚れさせてしまうよな。私も惚れた。カジモドとは結ばれなかったけどそれで良かったんよね。たとえ結ばれてもカジモドにとって自分を守ってくれる存在が鐘つき棟からエスメラレルダになるだけで世界は広がらないんじゃないかと思う。差別されないことは当然のことであって、親愛のハグは信頼関係の上に成り立つものであって、カジモドを認め愛してくれる人はまだまだたくさんいることを知れるといいな。

塔の外へ踏み出す決断を自分の意志で選択したカジモドは間違いなく力強い人間だから自信を持って、まずは自分を愛せますように。
ディズニー作品の中でも胸に残る作品。