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瀬戸内少年野球団のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

瀬戸内少年野球団(1984年製作の映画)
3.3
作詞家・阿久悠の少年時代をつづった自伝的小説を篠田正浩監督が映画化。
敗戦間のない淡路島を舞台に、野球を通して子供たちに民主主義を学ばせようとする女教師と子どもたちや戦争の影を引きずる大人たちの姿をノスタルジックに描く。
撮影は宮川一夫。
(1984)

昭和20年9月の淡路島。
江坂町国民学校の初等科5年男組。
両親を亡くした級長の竜太(山内圭哉)やヤクザになると宣言した三郎/"バラケツ"(大森嘉之)たち生徒は、担任の駒子先生(夏目雅子) の指示に従って国語の教科書を墨で塗りつぶしていたが、日本は負けて民主主義になったと言われてもどうしてよいか分からなかった。
その駒子先生も出征した夫正夫(郷ひろみ)が戦死し、義理の弟の鉄夫(渡辺謙)から言い寄られて困っていた。
新学期が始まり、東京から転校生の武女/むめ(佐倉しおり)が、海軍提督だった父(伊丹十三)  と一緒にやってくる。
きれいな彼女に胸をときめかせた竜太とバラケツは、武女/むめと提督をもうすぐやってくる進駐軍の手から守ってやる、と誓う…。

その後、
・駒子先生が鉄夫に無理やり体を奪われる。
・戦死したはずの正夫が片脚を失くして帰ってくる。
・駒子先生の呼び掛けで生徒たちが野球を始める。
・提督が戦犯として巣鴨プリズンからシンガポールの刑務所に送られ死刑に処される。
・生徒たちが進駐軍と野球の対抗戦をする。
・武女/むめが島を去っていく。
など、さまざまなエピソードが綴られる。

「心は占領させてはいけないのよ」

~その他の登場人物~
・竜太の祖父(大滝秀治) :巡査
・竜太の祖母(加藤治子) 
・"バラケツ"の兄(島田紳助) :やくざな商売をして追い詰められる。
・"バラケツ"の姉(宿利千春)
・武女/むめの兄(三上博史 )
・ 戦争未亡人(岩下志麻): 床屋“猫屋”からバーの女将へ。
・旅芸人(沢竜二 )
・バー“猫屋”の女給(ちあきなおみ):最後は○○と島を去る。

敗戦を当時の日本人が、大人であれ子どもであれ、どのように受け止めどのように行動したのかを、悲哀も込めながらノスタルジックに描いている。
夏目雅子はオドオドした自信のなさそうな感じでヒロインを演じている。
竜太は優等生タイプで武女/むめに好かれるが行動力が乏しく、最後に武女/むめを見送る役はちょっと暴れん坊タイプの"バラケツ"ひとりに振られている。
グレン・ミラーの「IN THE MOOD」のリズミカルな音楽が作品を盛り上げる。
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