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アンデルセン物語のkyのレビュー・感想・評価

アンデルセン物語(1952年製作の映画)
3.3
前半は主人公ハンスの人柄が素敵に描かれていて、ストーリーと共にリズミカルな音楽が心地よくて楽しめました。後半はミュージカル要素が強くて個人的に苦手でした。

デンマーク出身の作家ハンスクリスチャンアンデルセンの童話が散りばめられたハンスの恋の物語。彼の話を楽しむあまり学校が疎かになってしまう子供達。そのせいで街を追い出された彼はコペンハーゲンへ。そこで1人のバレエダンサーに出会います。

独特の古い演出にカメラワークを経て、「裸の王様」を子供達に話すハンスの描写から物語が始まります。
劇場でミュージカルは何本か観た経験がありますが、台詞がよくわからなくてミュージカル要素の強い作品は苦手意識があったのですが、此方は映画は前半は台詞もミュージカル要素が抑えられていて心地よく鑑賞できました。後半は少しミュージカル的でうーん。「マンマミーヤ」「ララランド」なんかは評価の高い作品ですが、個人的にどうも映画的な要素とミュージカル的な要素が対立してしまう感覚がして1つの作品として重過ぎるように感じてしまうのです。

数字の2と4が出会って恋をして、他の数字も式に参加した凄い表現だなあ。ハンスの言う通り学び方は様々であるということを、この時代にも啓蒙的にしていたのに、多様性と言われるだけで変化は特になし。やはり学び方を変えるのは大変に難しいことなんでしょうなあ。

校長の「靴屋は靴だけ直してれば良い」というのも古典的にも思えるますし、そう描かれているけれど、現代を直視するとそう古典的とも言えないのが悲しい。

足し算の授業がメロディに乗せて計算してて、こんな素敵な学び方もあるんだなとなりました。音楽には比較的疎いですが、音楽も含めアートとロジカルな学びを融合させるというのもありだなあ。そこから個人的には映画とロジカルな学びを繋げたら面白そうだなあ、と思ってはいます。

ハンスのようにボキャブラリーに溢れユニークな人間であればお金がなくても楽しく生きられるのだなあ。現代の資本主義社会では厳しいけどそういう生き方に憧れたりもします。感情論とインスピレーションが指針の生き方はなんて素敵なんだろうなあ。そうしたらハンスのように犬と話すことも出来るし愉快。

最後の沢山の子供達や街の人々に囲まれて歌い語るハンスの姿は素敵でした。
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