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ロスト・イン・スペースのMOCOのレビュー・感想・評価

ロスト・イン・スペース(1998年製作の映画)
3.5
「あのドームの中に入ったらさ、もっと未来に行けちゃうのかも知れないんだね。
 パパ、あの扉は自然のものじゃないかもしれない」(ウィル)
「こういう現象は人工的には作れないよ」(ジョン)
「そんなことはない。僕のタイムマシンを使ってもああいうドームができることになってるもん。誰かがタイムマシンを作ったのかもしれない」
「ご意見ありがとう。でも今は空想ゴッコには付き合えない」
「いつも無視されるんだ、パパなんか嫌いだ!」

 石油が枯渇し、オゾン層の40%が破壊してしまった人類は存亡の危機に立ち向かうことになります。地球連邦軍はアメリカ陸軍とSGI社によるジュピター計画での大規模な人類移住の準備にかかります。2058年ロビンソン一家は人類移住の調査のためにジュピター2号でアルファ・プライムへ向かうことになります。10年間の冷凍睡眠のあとアルファ・プライムで他の調査隊と合流してハイパーゲートを建設し地球のハイパーゲートを結び人類の移住を短時間で行う計画です。
 地球反乱軍は地球連邦軍より先にアルファ・プライムに到着し権利を獲得するためDr.ザカリー・スミスを発射寸前のジュピター2号に送り込みフレンディ(ロボット)の任務を書き替えます。
 Dr.スミスはお金が目的で地球反乱軍と内通していたのですが、この書き換え直後に地球反乱軍に裏切られ、渡されていた装置で一時的に気を失ってしまいジュピター2号の中に取り残されてしまいます。地球反乱軍は利用したDr.スミスも同時に葬る計画だったのです。

 ジュピター2号に乗り込んだのはジョン・ロビンソン教授
モリーン・ロビンソン博士 (妻)
ジュディ・ロビンソン博士 (長女)
ペニー・ロビンソン(二女)
ウィル・ロビンソン(長男・末っ子)のロビンソン一家。
そして宇宙飛行士のダン・ウェスト少佐です。

 出発と同時にロビンソン一家は10年間の冷凍睡眠に入り、ダンも遅れて冷凍睡眠に入ったのですが直後Dr.スミスは目を覚まし、ほぼ同じくしてフレンディが覚醒し書き換えられた指示の実行に入ります。その内容は「出発16時間後のロビンソン一家の抹殺とジュピター2号の破壊」です。

 暴れるフレンディが手に負えなくなったDr.スミスは全員の冷凍睡眠を解除してフレデイの機能停止を試みウィルが遠隔操作でフレデイを停止します。ウィルは学校で最も優秀な少年なのです。

 フレデイの機内破壊により航路を外れたジュピター2号は太陽の引力圏内に突入してしまい、ダンはやむなくハイパーゲート外でハイパードライブ(高速移動)を使用し危機を脱したのですが、その結果人類が知らない未知の宇宙空間に迷いこんでしまいます。

 彼らは地球への帰還のために船を直しながら宇宙空間の旅を続けることになるのですが、翌日には人類が未確認の宇宙空間で「海神プロテウス」と船体に書かれた連邦軍の船に遭遇します。
 プロテウスに乗り込んだジョンとジュディとダンとDr.スミスの4人は戦闘跡のある無人の船の録画記録からプロテウスはダンの親友ジェブが遭難したダン(ジュピター2号)救助のために指揮をとる船で、何らかの理由で乗組員全員が死亡したことを知ります。数日前に別れたばかりのジェブは記録映像の中で何故か歳をとっているのです・・・

 そして乗組員を絶滅させた蜘蛛のような鉄の生き物が一斉に彼らを襲って来たのです。
 ウィルが修理し遠隔操作で動くフレンディとダンの抗戦でDr.スミスが触手で引っ掻かれた程度の被害でジュピター2号に戻った彼らは、ジュピター2号に飛び移り船体を攻撃してくる蜘蛛のような生き物から船体を守るためにダンは独断でプロテウスのエンジンを点火し熱源を好む鉄の生き物を集めてプロテウスを爆発し一網打尽で焼きつくし難を逃れたのですが、ブレンディをプロテウスに置き去りにすることになり、ジュピター2号も致命的な痛手を負う事になり、ある惑星に不時着することになってしまいます。そこには成長するドームがあり、ウィルはドームを見て誰かがタイムマシンを作ったと話し始めジョンが取り合わなかったのですが、ジョンはちゃんと話をするために「必ず戻ってくる」と約束をしてダンと二人でドームに入っていきます。宇宙船のエネルギーを求めて・・・。

 ジョンはドームの中で大人になったウィルに出会います。ほんの数時間前に幼いウィルが言っていた「誰かがタイムマシンを作ったのかもしれない。僕のタイムマシンを使ってもああいうドームができることになってる」と言っていた誰かとは未来のウィルで地球を離れるときに試作していたタイムマシンを完成させ・・・。
 ウィルは「あの日『必ず帰ってくる』と言ったのに帰ってこなかった・・・。生き残っていた数匹の鉄のような生き物がジュデイ達を・・・」と怨みのこもった声で・・・。

 鉄のような生き物につけられた傷がもとで変わり果てた体になったDr.スミスは過去の自分に後悔し、幼いウィルを利用してタイムマシンを作らせ地球を離れる以前の世界に自分一人で帰ろうとしていたのです・・・。

 未来のウィルは帰らなかった父の謎と父の気持ちを知り、地球に帰るために作ったタイムマシンを違う目的に使います。誤解の溶けた父子は悲しい別れを・・・。

 日本では1966年から1968年にかけて第2シーズンまでがTV放送されたアメリカのTVドラマ『宇宙家族ロビンソン』の映画化作品です。放映当時も再放送の頃もさほど興味がなく、時々見る『宇宙家族ロビンソン』のDr.ザックレー・スミス(ジョナサン・ハリス)の冷たい表情と態度が訳もわからす嫌なドラマでした。
 TVシリーズは第4シーズンまで計画されていたようですが3シーズンで打ち切られたようです。
 映画も後編ありきの制作だったのですが、不評のために後編は作られず、誰も宇宙で迷子になったロビンソン一家のその後を知ることなく2つの作品は打ち切られています。

『ロスト・イン・スペース』はファミリー向けのように子供のペニーとウィルのエピソードから始まるのですが、Dr.スミスの登場から大人向けに変わっていきタイムマシンのエピソードは「なるほど」と思わせる大人思考の内容で、ウィルの
選択は小さな感動があります。

 ストーリーもメカニックも特撮もハイレベルで宇宙船「ジュピター2号」のデザインはTVシリーズに関わったアーウィン・アレンが制作したTVシリーズの『巨人の惑星』の宇宙船「スピンドリフト号」を思いを起こさせ、アーウィン・アレンへのオマージュを感じさせ『巨人の惑星』を観たくなります。

 20年以上前、私より8歳年上のまさにTVシリーズ世代だった映画好きな先輩が紹介してくださった『ロスト・イン・スペース』は、当時のまま面白い映画でした。
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