YYamada

ヒートのYYamadaのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
3.9
【ブロマンス映画のススメ】
~恋愛ではない男性同士の熱い関係

◆本作が示す「ブロマンス」:
 「コインの裏と表」互いを認め合う、
 犯罪組織の首謀者と辣腕刑事
◆作品のジャンル:
 クライム・サスペンス

〈見処〉
①マイケル・マン監督による、
 犯罪映画の最高峰
・『ヒート』は、1995年に製作されたクライムサスペンス映画。
・舞台は米国ロサンゼルス。プロの犯罪者ニール・マッコーリー率いるグループが、現金輸送車から多額の有価証券を強奪。
・捜査に乗り出したロサンゼルス市警のビンセントは、わずかな手がかりからニールたちの犯行と突き止め、執拗な追跡を開始する…(eiga.comより抜粋)
・本作は、1960年代のシカゴの伝説の犯罪者、ニール・マッコーリーと、彼を射殺したシカゴ市警チャック・アダムソンのエピソードを元に、シカゴ育ちのマイケル・マン監督が製作した1989 年のテレビ映画「メイド・イン・L.A.」をセルフリメイクしたもの。
・本作の演出にあたって「本物主義」のマイケル・マンは「本物の犯罪者」「本物の警官」に見せるために、俳優陣に「刑務所を訪問させ、受刑者の話から犯罪心理を探らせる」「変装した格好で営業中の銀行に訪問させ、どのように襲撃するか検討させる」「LAギャングと同じテーブルで食事させる」など、過剰な役作りを要求。
・また、本作中盤の白昼のLAダウンタウンにおける凄絶な銃撃戦を演出のため、俳優陣に実弾による射撃訓練を受けさせ、劇中の銃撃音は全て実際のものを使用。映画史に残る本物さながらの迫力あるシーンとなっている。
・このように作り上げられた、本作のリアルな犯罪の雰囲気や、デ・ニーロとパチーノの対立の構図は、クリストファー・ノーランにインスピレーションを与え、『ダークナイト』(2008)に生かされているのは有名な話である。

②パチーノとデ・ニーロ
・本作のダブル主演、アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの共演は『ゴッドファーザー PARTII』(1974)以来であるが、同作には実際に顔を合わせるシーンはなく、レジェンド俳優2人の実質的な初競演作として、本作は注目を集めたことを記憶している。
・しかしながら上映時間は171分にも及ぶ長編叙事詩の本作にて、主演の二人が相対する場面はごく僅か。
・さらにマイケル・マン監督により、同一フレームに正面の2人の収めない意図的な演出を行い、「不仲説」「実際は共演していない説」が氾濫。自分も『アイリッシュマン』(2018)までその説を信用していたが、どうやら都市伝説のようだ。
・不仲が噂されるほど、2人の「コルリオーネ」の緊張感の溢れる共演シーンは必見シーンである。

③結び…本作の見処は?
欠点は見当たらない。じっくり腰を据えて鑑賞したい。
○: 171分の長尺作品ながら緊張感が止まらないクライム・サスペンス。鑑賞中に退屈しない。
○: アクションの見処め多い。中盤の市中銃撃戦、終盤の空港滑走路の追跡シーンは見必見。
○: 本作のパチーノとデ・ニーロは「コインの裏と表」、敵対しながらも互いを認め合う。ラストシーンは、まさに「ブロマンス」関係に該当。
○: 登場する女優陣がみな美しい。『レオン』翌年、幼年のナタリー・ポートマンも登場。
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