ビョーキノオタク

ヒートのビョーキノオタクのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
3.0
男の必修科目映画。

ギャングのリーダーを務めるロバートデニーロが「家庭を持つと仕事に支障が出る」という哲学を持っていて、
それを追う刑事役のアルパチーノが「家庭を持ってはみたものの、仕事が忙しすぎて家庭崩壊」という対比の構図になっているのが面白い。

自身への鉄の掟を持つロバートデニーロだが、心の底では本当の自分を見せられる誰かがいないことを寂しく思っていたが、そんな時出会った女性に恋をしてしまう。

自身の鉄の掟をやぶり、「守るもの」ができてしまったロバートデニーロだが、それが仇となりアルパチーノに追い詰められてしまう。

立場的には敵対する二人だが、カフェで対峙した際に会話した互いの印象は
「あれ?こいつ、俺と同じじゃね…?」
である。

仕事に対してのプロ意識を持ち、そのためなら家庭を顧みない(だから最初から家庭を持たない)二人は、似たもの同士だった。

それゆえに、他の仲間の介入がない、ラストの二人の追走が、とても哀愁際立つ。
自分を始めて理解してくれるかもしれない相手が現れたのに、それは敵同士。
仕事のプロであるからこそ、相手を殺さなくてはならない。

一貫した哲学とそれを結ぶ構図が物語を際立たせる。