こーた

ヒートのこーたのレビュー・感想・評価

ヒート(1995年製作の映画)
4.2
執念強い敏腕刑事と賢く冷静沈着な犯罪組織のリーダー。2人の名優が織りなす珠玉のクライム映画。
物語は強盗事件からはじまる。手慣れた手つきで強盗を行う一味だが、彼らの1人がミスを犯すことで手掛かりを与えてしまう。刑事ヴィンセントは鋭い推理力でプロの犯行を推測し、捜査を始める。
そこから視点は交互に描かれる。犯罪組織のリーダー・ニールは冷酷で、目的のためには仲間も平気で殺せる。だが物語の中でニールは1人の女性を愛し守ろうとするし、仲間を助けるなど人情味ある一面も見せる。
一方刑事・ヴィンセントは捜査一筋で離婚を繰り返し、妻との関係も悪化していた。それでも家族のことは大切に想っていた。
2人は何を差し置いても夢中になれることがあり、また故に孤独という点で共通していた。物的証拠がない中で、2人が対面するシーンは何とも痺れる。親近感を覚えるヴィンセントに対して、あくまで冷酷なニール。決して交わらない2人だが、心の奥で繋がっている。それは最期のシーンにも現れていた。
刑事と犯人、一般的な物語ではどちらか一方に描かれがちだが、本作では犯人側も魅力あるキャラクターとして描いており、それによって厚みのあるストーリーになっている。事件と個人的なシーンが交互にやってくるので、長尺を感じさせない構成だった。
それにしてもゴットファーザーの印象強すぎてアルパチーノの刑事役はちょっと新鮮だった。
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