びこえもん

オリーブの林をぬけてのびこえもんのレビュー・感想・評価

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)
3.8
『ジグザグ道3部作(コケル・トリロジー)』の3作目。「2作目を撮影している最中に出演者の村人たちに起こっていた物語」という設定で,1作目(友だちのうちはどこ?)のメタ的続編である2作目(そして人生はつづく)の更にメタ的な続編になっています。例えるなら2作目と3作目が『カメラを止めるな!』の前半と後半みたいな関係と言えば良いでしょうか。同時に作られてはいないと思いますが。したがって,2作目で監督役だった俳優が「監督役の俳優」役で登場し,この『オリーブの林をぬけて』では別の監督役の俳優がそれを撮っている演技をしているという,第4の壁を重ねまくったマトリョーシカのような映画になっています。

しかも,この『オリーブの〜』における監督役の俳優が最初に「監督役のケシャヴァルズです」と名乗るなど更にメタい。後年の『桜桃の味』でもメタシーンがありましたが,ここらへんの流れから出てきた表現なのでしょうか。

ジグザグ道3部作といわれるだけあって,あの不揃いながら独特の造形美をもった何の変哲もない美しい小道がやはり象徴的に使われ,しかも『友だちのうちはどこ?』に出演した2人の子供もちょっと成長した姿で登場するので,3作通して観れば感慨深いものがあります。ラストシーンははっきり何とは言わず含みがあるけどそれとなく内容を想起させるような作りでかなり良かった。

あとキアロスタミの助監督を務めていたジャファール・パナヒも登場します。