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オリーブの林をぬけてのfleurのレビュー・感想・評価

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)
4.6
ジグザグ道3部作の最終章、2作目から1年後、地震から1年後のイラン・コケル。ドキュメンタリーとフィクションが溶け合っている不思議な作品。あのアフマッドが大きくなっている!「そして人生はつづく」の青いお家!となんだか親戚にひさしぶりに会ったような懐かしい不思議な気持ちになった。ペールグリーンの柱に青い柵、その前にはベゴニアの赤と鮮やかなピンク。カラーパレットが美しい。
新婚夫婦役の新郎役のホセインは新婦役のタヘレに震災前から想いを寄せているけれど、震災直前に求婚をタヘルの家族に断られ、震災後は疎遠になってしまう。今では挨拶はおろか映画の台詞のやりとりすらしてくれない。「同じレベルの人同士でしか結婚できないのはおかしい、読み書きができない人はできる人と結婚して、助け合っていくべきだ」、と結婚への確固たる想いを語るホセイン。「でも君は字が読めなくて結婚を断られたじゃないか」、と監督。ちょくちょく失礼だな、となる部分もありつつも、実直に思いを伝えるホセインと何も答えないタヘレは平行線のまま。そのまま彼女はオリーブの林をぬけて行ってしまう。くすんだ薄緑色が続く林は美しい。
ホセインは誠実ではあったけれど、タヘレにしてみれば、興味がないのにずっと言い寄られて、いい迷惑だったのかな。でもタヘレはきっぱりと断ろうと思えばそう言えるようなタイプの女の子にも思えるから、本当はどう思ってたのだろう。
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