NaomichiTamiya

オリーブの林をぬけてのNaomichiTamiyaのレビュー・感想・評価

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)
3.0
primeにて視聴

イラン制作の映画3部作のうちの2作目「そして人生は続く」に続く作品で、2作目にチョイ役で登場した夫婦役の男性にスポットを当てた作品であるが、夫婦役を演じた女性タヘレへ求婚するも、断られており、その後のアタックも無視される始末。彼女への未練を残しつつ映画制作が進んでいく。

今作は男性が女性への恋愛の成就がテーマになっているようだが、その前に、この作品の複雑なところは、時系列がめちゃくちゃで、話がさっぱりわからないのである。映画の中で、映画作りの話が進んでおり、その映画というのは、2作目「そして人生はつづく」である。前作では、とある少年の姿を探し求めるストーリーなのだが、結局のところ映画内では出会うことはできなかったのだが、この3作目において序盤で成長した姿を、突然に見せているのだ。2作目は、ドキュメンタリー設定で作られたものかと思わせるも、きちんと映画としてカットに分けて撮影されていることを示唆しており、その撮影の様子を、その少年らは後ろで見学しているのだ。

今作の主人公は、求婚したいが、とにかく自分勝手で都合の良いことばかりを言うもので、結婚に対する願望が偏っているもの。それでも、タヘレに対するアピールだけはものすごい。散々、無視されていくのだが、監督お得意の遠景による描写で、男女の顛末を映し出すようなラストで終演してしまう。果たして、うまく行ったのか、ダメだったのか、それもよくわからないままに終わる。

ラブストーリーと言えるのか、一方的な求婚としか見られない、感情移入もできずに、ただ女性の方は付きまとわれてうんざりしているんだろうなという同情の念だけは、共感できそうな気がした映画だった。

今作は、イランという国の村落の生活を垣間見れるのは良いと思うが、2作目の質を、余計に落としかねない気もしないではない。2作目のスピンオフ作品なのかどうか。

そう考えれば、監督の目線は、先取りしていたのかもしれない。

年配の夫妻が「旦那の猛アピールに負けて一緒になったんだ」という話をテレビでも耳にするが、猛アピールというのは、こういうものだったのかというのを思ったところ。

眠たい時にみると寝てしまうような映画である。
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