佐藤克巳

信子の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

信子(1940年製作の映画)
5.0
左巻き大島渚が絶賛する「女の園」だが、戦前にだって立派な女学生映画が存在していた事を証明する清水宏監督の青春映画の傑作。女学校新任教師高峰三枝子は九州から上京、親戚の置屋女将飯田蝶子宅に下宿、校長岡村文子から体育の担当を命ぜられ九州訛りを注意された。早速、授業で女生徒に訛りを嘲笑され、芸妓見習が校内遊技で遊ぶ姿を目撃され寄宿舎に引っ越し、此処でも生徒の洗礼を受る。ある日泥棒日守新一を捕まえ一躍人気者になった高峰に、反抗する女生徒三浦光子との応酬、冷淡な対応の教頭森川まさみ等同僚の構図が展開される。ハイキング、自殺未遂と続き退職寸前で三浦の父奈良真養が救いの手、生徒を特別視しないで円満解決。おまけに、芸妓にならず飯田の養女となった三谷幸子も女学校進学の朗報を喜んだ。獅子文六原作の爽やかな朝の様な余韻と、清水の斬新な映像感覚を堪能できる贅沢な作品。
佐藤克巳

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