このレビューはネタバレを含みます
あー、フランス映画だわ。と個人的に思う要素が詰まってた。フランス映画って好みではないのだけれど、たまに見ると刺激になります。
主人公のファッションの可愛らしさ。街並みや各家の内装との調和も計算ずくの、キュートな色彩。設定も相まって、まるで絵本を見ているよう。
主人公のチャーミングなキャラクター、妄想癖のある様子からは、『アメリ』を連想。女としての己の魅力を理解している彼女の強気な発言など、フランス映画じゃなきゃブン殴りたくなるような描写なのだが、フランス映画だからいいやと思う。
それにしても、フェティッシュなエロスを随分とソフトにさりげなく描写するのだなと思っていたら、モザイクをかけられた陰部のアップが画面いっぱいに映し出されたり、退廃的でおバカなエロスの描写が、いかにもフランス映画だった。
赤色が好きな共産主義者のおばあちゃんや、アリスを思わせるおしゃまな少女など、脇役の女たちも可愛らしかった。
しかし、男たちがどうにも煮え切らない連中ばかりなのがなんとも言えない。
青年との関係は微笑ましくもあり、社長との関係は滑稽でおかしくもあり、もっと見たかった気もするのだが。
セクハラよりもイヤーな予感のする『ソドム百二十日』の朗読を突っ撥ねることで彼らから吹っ切れるのだが、どうせなら彼氏のことも突き放して欲しかったかな。
フェミニズム映画というほど強い主張があったわけではいないが、主人公の職業意識の高さなども、意図して描写されているのだろうと思った。
本の中の出来事なのか、妄想の中の出来事なのか、実際に起きたことなのか、曖昧なつくりが面白かった。