ーcoyolyー

読書する女のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

読書する女(1988年製作の映画)
3.3
これ「読書する女」じゃなくて「朗読する女」だね。私は読書が好きだけど朗読は嫌いなのでこの邦題は非常に座りが悪かったですね、私に取っての読書の良さは声を出さなくて良いことも大きなウェイトを占めているので。黙読の美点を愛しているので朗読と黙読は分けて欲しいですね。こんな些細なと思えることに自分がこれだけ引っかかっていること自体に驚いてますが、読み書き能力と話す聞く能力が乖離している私にとっては譲れないことなんでしょうね。

私は何故これほどまでに声を出すという行為に忌避感があるのか、という問題は宿題として持ち帰りますが、フランス映画だし邦題『朗読女』くらいの感じで良かったんじゃないですか?ミュウ=ミュウの撮られ方アンナ・カリーナみたいだったし。JLGのアンナ・カリーナの撮り方みたいなのやりたくて失敗してる感すごかった。まあ『中国女』はアンヌ・ヴィアゼムスキーだけども。

なんというかヌーヴェルヴァーグの皆さんはなんだかんだ言うても最低限の品はあったんだなと思いますね。踏み外さない、下卑たことはやらない。そういう一線は越えなかった。そういうクッソダサさだけは避けようとする含羞はありましたね。この映画はヌーヴェルヴァーグやりたいんだろうけど滲み出るおじさん構文感が酷くて耐えられないものになっていました。ルイ・マルやジャック・ドゥミならとてもチャーミングに撮れたんだろうけどこういう世界観って人間性の誤魔化しきかなくてダダ漏れしちゃうから厳しいなと思う。
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