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読書する女のshihoのレビュー・感想・評価

読書する女(1988年製作の映画)
4.0
朗読屋マリーの声・発音がきれい。他の登場人物の声も良くて、全編耳が贅沢な気持ち。将軍夫人の声は忘れられない。

映像も素敵。ぽつんとベッドと天窓があるだけのマリーの寝室や、広い洗面所、誰も歩いていない町並みなど、空漠さを感じる空間づくり。

部屋と登場人物の服の、色に注目すると面白い。部屋はそれぞれ色が統一されている。部屋と馴染む色の服を着ている人は、そこで生きていることに何の違和感も抱いていなさそう。けど、部屋から浮いた色の服を着ている人もいる。そういう人は孤独な人として描かれている気がする。
同じ色をまとう人同士が心通う人と考えると、登場人物たちの隠れた本音が見えた気がして面白かった。

マリー、かわいかったなあ。雨の町でしている奇行がよかった。

朗読を通して色々な文学作品の一節に会えるので、これだ!と思う作品に会えるかも。プレヴェールの「10月派」、知れて良かった。
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