カーンとの死闘を制し、犠牲になったスポックの亡骸を惑星ジェネシスの軌道に放って帰還したジェームズ・T・カーク。スポックの父からバルカン人は死の間際に他人に魂を託すと告げられた彼が、それを宿した事で混乱してエンタープライズで暴走するマッコイと相棒の魂を救うため息子が指揮する科学船で宇宙へ旅立つ様を描くSF映画です。
テレビ放送された人気スペースオペラ『スター・トレック』の後日譚を映画で描くパラマウント配給の映画シリーズ第三段で、批評的成功を収めるも結末を改変されたことで辞退したニコラス・メイヤーに代わってレナード・ニモイが就任。自らが演じるスポック復活の物語を演出して興行収入と批評家からの評価共に上々の成果を収めました。
この後にも数々のスペースオペラが実践する「神話」への昇華を目指すもジャンルに求められる溌剌さとの相性の悪さを覆すには至っていません。人気キャラ復活のエモーションで力づくでカバーしようとしますが、キリストを思わせる物語はオカルトじみていて、安直な仲間の犠牲に監督決定経緯もあり作り手の独り善がりを感じる一作です。