バナバナ

チェスト!のバナバナのレビュー・感想・評価

チェスト!(2008年製作の映画)
3.3
示現流といえば、幕末、彼らの刃を受けた者は、自分の刀の峰や鍔を自分の額に食い込ませて絶命したという。
近藤勇には「薩摩者と戦う時は必ず初太刀を外せ」と言わしめた、一撃必殺の流派(「チェスト」は、その示現流の掛け声)。

主人公の吉川隼人は、野太刀を使う自顕流の方を習っていますが、正義感のある真面目でまっすぐな性格の少年。
しかし彼には秘密があった。
彼は、船宿も営む漁師の息子でありながら、全く泳げなかったのだ。

そこに、東京から来た謎めいた転校生や、両親の離婚問題で悩む女生徒なども絡んで、学校行事である「錦江湾横断遠泳大会」に向かって進んでいく…、というストーリー。

隼人少年の漁師の父親を高嶋政宏が演じてますが、この人、何不自由なく育った二世俳優でありながら、こういうブルーカラーというか、肉体派の役やらせたら一番になったなと、その余りのマッチングぶりに良い意味で驚きました。

太刀稽古による厳しい鍛錬や、こういう明るい父親の元で育つと、隼人君のような少年が育つような気がします。
クラスに揉め事が起こっても、こういう大らかな少年が一人いると、
子供たち自身による自浄作用が起こり、自然と良い方向に向かう様子が描かれています。

鹿児島の突き抜けた青空と雄大な景色も、この映画に大いに貢献していると思いました。
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