つるみん

チェンジリングのつるみんのレビュー・感想・評価

チェンジリング(2008年製作の映画)
4.0
1928年にロサンゼルスで実際に起きた事件。息子が行方不明になり約5カ月が過ぎた頃、戻ってきたのは息子ではなかった。当時の警察に押し付けられ非道を行い隠蔽するといった非常に酷い仕打ちを受けながらも警察に対し立ち向かう母親の真実のお話。

この頃のイーストウッド監督作品は名作を連発している。〝ミリオンダラー・ベイビー〟〝父親たちの星条旗〟を始めマイベストイーストウッド監督作品の〝グラントリノ〟それから本作の後にできた〝インビクタス〟など数々の名作だ。

しかし本作品はイーストウッド自身思いが強い作品だと僕は思う。この事件の発生は1928年。この1年後、世界恐慌に突入する。そして1930年、そう、イーストウッドが生まれた年である。イーストウッドはサンフランシスコ出身であり本作の舞台はロサンゼルス。非常に近い場所に生まれたことから当時の警察の酷さを彼は知っているのだろう。だからこそ描けた作品といっても過言ではない。
本作を観賞すれば分かるがこの当時の警察は酷過ぎる。本来、蹉跌をきたす事件にも隠蔽し決して警察側の失態にはしない。
一方、その大きな壁にぶち当たる母親。しかし彼女の存在がたくましい。猜疑心を抑え彼女の望みは〝息子が帰ってくる〟こと。それだけを望み続けていたのである。

この映画に決して終焉はない事を分かっていただきたい。
つるみん

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