円柱野郎

チェンジリングの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

チェンジリング(2008年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

クリント・イーストウッド監督は実にそつなくコンスタントに良作を撮っていきますなあ。今作は1930年前後のロサンゼルスを舞台に、警察の腐敗と一人の女性の闘い、そして猟奇殺人事件の実話を描いているわけだけど、ストーリーは纏まっているし演出にも破綻がない。早撮りで知られる監督だけど、もはやもうこれは職人芸の粋か。
この映画は主演のアンジェリーナ・ジョリーが良い演技を見せています。肉体的に“強い女性”を演じさせたらピカイチの彼女だけど、今作は“母親としての強さ”“気丈さ”といった精神的な強さを見事に表現してました。こんなに幅のある演技が出来ると文句も出ませんw 何より30年代のコスチュームに身を包んだ彼女に、昔のハリウッド女優のような雰囲気を感じたね。それがまた時代設定にマッチしていて良いんですわ。
演技という点ではキチガイ殺人犯を演じたジェイソン・ハーナーも良かった。彼の異常者の演技が主人公のやるせなさを的確に引き立てていた気がする。
総じて辛いストーリーではあるけど、どこまでも気丈に立ち向かう主人公の姿は鼻につかず、むしろ応援してしまう。ラストに希望を見いだす主人公も、話の持って行き方次第では固執しすぎて哀れにも見えてしまうかもしれない。でもそうならずに真に“希望”と思えるところが、そこまでのジョリーの演技、そしてイーストウッド演出の積み重ねの効果なのかな。良い映画でした。
円柱野郎

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