さわだにわか

丹波哲郎の大霊界2 死んだらおどろいた!!のさわだにわかのレビュー・感想・評価

4.5
無実の罪で絞首刑に処された丹波が霊体となってシャバに出てくると折よく護送車到着、なんだかよくわからないがとりあえず乗ってみた丹波は運転手に憑依してミニミニ狂った野獣チェイスを始めるのだった。「一度こんなことしてみたかったんだあ〜!」まったく意味はわからないが開始五分で理由もなくカーチェイス&クラッシュを見せてくれる丹波脚本の太っ腹、娯楽映画のツカミとしては完璧だろう。煽り運転の人にもお盆で戻ってきた丹波が入っていたに違いない。

最初からカーチェイスというぐらいなので見どころいっぱい、全部面白いのでどこがとか書きにくいが霊体丹波のコメンタリーは愉快だし霊界に入って感極まった丹波の「神様ああああ!」は必聴、必聴といえばエンドロール曲(?)が丹波の霊界説法でこれも爆笑もの、漫★画太郎のコピペ技法に多大なる影響を与えたかもしれない霊界のさとるダンスも最高だ。「(舞いながら)さとる〜?」「ママ!」「(舞いながら)さとる〜?」「ママ!」「(舞いながら)さとる〜?」「ママ!」「(舞いながら)さとる〜?」なんなんだよ!

さとるダンスの次は霊界バレエであったが(霊界は踊りぐらいしか娯楽がない)このあたりから丹波はやる気をなくしているので延々続くバレエを丹波はただ座って眺めるのみ。でしょうね。この霊界黄金の宮殿と花畑と講堂があるだけだから丹波もつまんなかったんだと思います。反対に地獄はなんだかお祭り騒ぎ、ケーシー高峰とかせんだみつおがナハナハ騒いでいるので楽しい感じである。

つくづく思うのはスピリチュアルの人が天国と地獄を撮ると天国は平板な世界なのに地獄はえらいエキサイティングになる。幸福の科学の映画とかでも面白いのは圧倒的に天国(的な)場面より地獄とか教団的悪者が襲ってくる場面である。

なぜそうなるのかよくわからないが、しかしそんなことを考えている暇もなく映画はニューヨーク1997的展開に。わけがわからないが面白いからもうなんでもいい。ちなみに地獄に行く前に息子丹波は地上に降りて善意から人を自殺に追いやったりしていた。天国はよいところと知っているので特に悪びれることもなくまあしょうがないったかみたいな霊体丹波は悪霊よりも恐ろしい。恐ろしい爆笑巨編であった。

それにしてもこういう場合本人は至って真面目というパターンが多いが大丹波はさすがに大物であるから主人公なのに途中で出るのが面倒くさくなって(※想像です)霊界パワーで若返った設定をなんの脈絡もなく使い息子丹波に主役をバトンタッチ、自身は霊界教授として霊界大講堂で霊界学を一席ぶってそのままエンドロールまで退場してしまうのであった。

この余裕っぷりよ。真面目にやれよとも思うが霊界学を真面目にやられても困るのでまあこれぐらいがちょうどいいんだろう。要は偉そうに演説したいだけの丹波なのである。金儲けに余念がない現代カルト教祖の諸君には大丹波の偉大なる無邪気を見習ってもらいたい。
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