櫻イミト

恋するガリアの櫻イミトのレビュー・感想・評価

恋するガリア(1965年製作の映画)
4.5
”ガリアンヌ・ルック”という言葉を流行らせ、60年代パリのファッション・アイコンとなった恋愛ノワール映画。ザ・スウィングル・シンガーズによる主題曲”恋するガリア”も世界的にヒットした。主演ミレーユ・ダルクの出世作。

パリで自由な一人暮らしをするファッション・デザイナーのガリア(ミレーユ・ダルク)は、ある日セーヌ川に身を投げた年上の女性ニコルを救う。自殺未遂の原因である彼女の夫グレッグに興味を持ったガリアは、彼を尾行しプレイボーイぶりを観察する。ところが次第に彼に惹かれるようになってしまい。。。

個人的に偏愛する一本となった。一番の理由は学生時代に愛聴していた”恋するガリア”が主題曲なこと。そして曲とベストマッチな映画だったこと。本作には憧れの60年代フランス・カルチャーの香りが詰まっている。

同年製作のフランス映画といえば「アルファヴィル」(1965)に「気狂いピエロ」(1965)とゴダール監督が全盛で、現在も日本で知られているのはヌーヴェル・ヴァーグ勢の作品が多いかもしれない。しかし当時の大衆的パリジェンヌたちの人気は本作の方が高かったのではないか。ヌーヴェル・ヴァーグ作品と同時代のパリの街を舞台に描かれるサスペンスタッチの恋愛ドラマにわかりにくさなどはない。その中で当時の新しい女性像はしっかりと打ち出されていて、映像・ロケーションにもこだわりが感じられる。物語も最後に上手くオチている良作だと思う。

スウィングル・シンガーズを劇伴に使っている映画は、他には仁科明子主演の「はつ恋」(1975)がある。異常な青春悲恋映画だが、こちらも音楽の力により偏愛する一本。

※ザ・スウィングル・シンガーズ
1962年パリで結成したア・カペラ・ヴォーカル・グループ。リード・ソプラノはミシェル・ルグランの姉クリスチャンヌ・ルグラン。バッハの曲をジャズ・スキャット「ダバダバ」コーラスで歌ってヒットした。
櫻イミト

櫻イミト