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劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4のpikaのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

人生2作目仮面ライダー。
ストーリーが雑とのことなので「ディレクターズカット版」の18分長い方にした。

序盤、シリアスな空気感から一転、怪人たち「アンノウン」が一列になりエスカレーターを上って行く姿に驚愕、吹き出す。
そこからのアクションシーンは低予算な仮面ライダー特撮映画として圧巻。まだ2作目だけど。

ついつい見てしまう昼ドラクオリティの画質と演技に夢中になっていると、まさかの小沢真珠の出現に小さくガッツポーズ。
子供2人の愛しさと切なさと心強さを感じながらストーリーを追うが、やはりテレビシリーズを見ていない負担が効いてくる。
野菜を育てている兄ちゃんが主人公なのだろうか、アギトと呼ばれていたし。
記憶喪失になって1年なのに仮面ライダーに変身出来るのはテレビシリーズで言及されているのか今作だけでは補完出来なかった。
升毅や要潤一向、野菜の兄ちゃんの関係図がよく理解できないまま何となくわかったようなわからないような。
特に少年が助けられた仮面ライダーの兄ちゃんは誰なの?最後までよくわからず、やや消化不良。

ドラマ部分が非常に濃厚であるが後味は軽くサッパリとしていて舌に残らない。
比べる対象が「仮面ライダー555」しかないが、555はドラマ演出に関しては今作より劣るが、内容は優れていたように感じた。
今作はキャラクター関係の描写に特化しており、関係図を理解していないせいなのか、映画だけだと感情移入が出来ないまま進んでしまう。
要潤が要になっていて(わ!さむい)「生と死」について悩み、ラストバトルに繋がっているが、結局野菜の兄ちゃんと要潤のキャラクターを掘り下げただけであり、観客へ訴えかけるメッセージ性としては薄い。
怪人アンノウンの発生場所や存在理由などが描かれないのは「仮面ライダー555」を見た後だから尚のこと気になってしまったのだろうか。

野菜の兄ちゃん、真魚ちゃん、少年の演技が酷くお大根だったのはアギトが野菜を育てているからなのだろうか、要潤と少女と小沢真珠の演技が良く、全体的にバランスは悪くないがもったいない。
小沢真珠好きなんです。あの演技も好きなんです。

東映50周年、仮面ライダー30周年記念作品とのテロップで知ったことだが「仮面ライダー555」よりも予算があるのかアクションシーンの迫力は凄かった。
技術的なことはわからないが、怪人アンノウン達の多さやアクションシーンのロケ地の多様さにより、似たような場面が少なく飽きない。
今作の方が古い映画というのが関係しているのか変身シーンやベルトの描写は「仮面ライダー555」の方が好みだ。

「エヴァっぽい」と聞いていたそのまんま、真魚ちゃんが連れさらわれ機械に繋げられ、G4とリンクさせられるシーンはもろにエヴァぽい!そのシーンの音楽もそれっぽい。

藤岡弘、の登場は新参者でもテンションが上がったし、安定感抜群の存在感にニヤニヤしてしまう。
意味深そうな台詞も印象に残る渋い声に気分高揚。

今作で最も残念だったポイントは、昔のアニメのようなテーマソングに気を取られてしまい、ボスのようなボスであろう怪人が倒れるところわからなかった点だ。
直後には終始理解出来なかった仮面ライダーの突然変異と呻き声に戸惑い、少年の「大丈夫?」というセリフに吹き出した。大丈夫じゃねーだろよ。

今作で最も勘弁して欲しいと懇願したポイントは、名称不明の「カラカラ回るパラパラマンガのような物体」に映るG4の中の人の死に向かう表情。
マジやめて、ホントやめて。この演出だけは耐えられなかった。ホント勘弁。

今作で最も良いと感じたポイントは、少女の存在にあった。
演技もいいし、可愛いし、ピアノ上手いし、誰よりもみんなのことを平等に想っていて純粋に素敵なキャラクターだと感じた。

総体的に良くも悪くも普通であり、全体のバランスは取れているが、だからこそ真に迫るグッと心に響くものが私にとってはなかったという印象だった。
今作は脚本もカメラワークも演出も安定しているのだが、個人的には「仮面ライダー555」の方が好きです。だって木場さんだもん。
それと台詞センスや演出はダメでもストーリーに懸ける真に伝えたいメッセージ性に魅力を感じる。
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