福福吉吉

第9地区の福福吉吉のレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
4.5
南アフリカ共和国の上空に突如、巨大な宇宙船が飛来した。同国政府は不気味な容姿をした異星人を難民として受け入れ、特別な居住区「第9地区」へ隔離するが、同地区がスラムと化し、また、人間と異星人の間でトラブルが頻発するようになった。そこで、異星人を監視・管理する組織MNUは新たな隔離区域「第10地区」へ異星人を移住させようとする。移住を指揮していたMNU職員のヴィカスは誤って異星人の所持していた謎の液体を浴びてしまい、ヴィカスの肉体は異星人のように変化してしまう。

文で書くと長いが、宇宙船飛来、難民受け入れ、スラム化、人間とのトラブル等をドキュメンタリー風にスピーディーに説明されているので、すんなり映画に入っていけた。
最初は異星人の外見に正直、嫌悪感を覚えたが、終盤には異星人を応援する気持ちになった。これが何よりも凄かった。ストーリーの主人公は人間のヴィカスなんだが、あまり好感を持てない性格をしていたのも、異星人に心情が傾く一因かもしれない。
ヴィカスの肉体が異星人化するにともなうMNU含め人間たちの反応がリアリティに富んでいて、人間の内面を醜く描写しているが、「こんな反応するだろう」という説得力があり、不思議と不快感はあまり無かった。
色々書いたけど、決して重い映画じゃなく、ちゃんと娯楽として完成しているので気楽に観ることができる作品です。
非常に面白い作品だった。凄い、としか言いようがない。
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