おとりさん

第9地区のおとりさんのネタバレレビュー・内容・結末

第9地区(2009年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

同じ監督の「チャッピー」を見て、こちらも見返し鑑賞。
そっかぁ~、こんな作品だったかぁ~が入り乱れ、複雑な心模様。

モキュメンタリーという映画のつくりと、CGなどの優れた映像表現がよく合って、今見ても出来の良い作品になってる。
賛否はあるみたいだけど、エビ星人親子の造形も、クリーチャーぽい、でもエビ特性であるお目めクリクリを効果的につかって、可愛らしく見える。
彼らの存在がファンタジー感だしてくれてるから、作品全体のドギツさの緩和要素になってる。

覚えてなかった方を言えば、人間たちのゲスさ。
主人公も、こんな奴だったっけ?と思うくらい、エビ星人への風当たり強くて嫌な奴だった。
ただ、最後に改心して親子を逃がしてあげたのはグッド。
奥さんへ金属でつくったバラをプレゼントするなど、姿は変わっても心は変わってないんだと分かる、ホッコリエピソードも込みで帳消しにしてあげよう。

当時は、作品の派手な部分、アクションやら、CGやら、そんな上っ面ばかり見てたけど。
本作の肝は、今も続く、移民や差別の問題を考えさせることなんだと思う。
南アフリカで生まれ育ったニール・ブロムカンプ監督にとっては、身近な問題として意識せざるをえない問題なんだろうな。

平和ボケ、島国ボケしてた、当時の私にとっては響かなかったけど、さすがにあれから何十年も経て現在を生きる私にとっては、その部分を切実に感じるわ。

時を経過しても、この2つの問題が、世界の中で良い方向に進んでるとは思えない。
根がふかい、難しい問題ですね …