KEKEKE

第9地区のKEKEKEのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
4.0
- 初(2017/02/22)
- 再(2023/09/11)

- 最近クローネンバーグの作品を何本か観ていて、ふと第9地区を思い出したが、肝心のクリーチャーデザインがどんなんだったかすっかり忘れていることに気づいたので再鑑賞
- これがモキュメンタリー形式で撮られていることが今でもすごく変で、新鮮に面白い

- ある都市の上空に突然宇宙船がやってきた、って事件の割にはスケールの小さい話がずーっと続くんだけど、あくまでも主人公個人の変身にフォーカスしていることと、設定上エイリアンを極限まで弱体化することであまり気にならないようによくできている
- その結果、ん?って思うところが無数にあるのにも関わらず、作品全体にあったかい空気が流れていて、なんか諸々許しちゃうような愛嬌がある
- チャッピーもそうだけど、ブロムカンプの作風の特徴って実はそういうクリーチャーを通した温もりの表現にあるんじゃないかと思った

- クリーチャーの外見に関しては、改めて見るとほぼトランスフォーマーだった
- 「可愛らしい人外」を当時の最新技術で作ろうとすると、最終こういう感じになったのかな
- SF作品の新しい造形へのチャレンジって、SNS普及以降はネット上で面白おかしく揶揄されて、蔑称で呼ばれるようになることさえあるけど、今作は公式で蔑称を用意して、予めそれをキャンセルしているのが現代的
- しかしこのころのVFX特有の、あったけえっつうかなんかありますよね良さがなんか

- SF作品にありがちな政治的情勢や史実のモチーフは、今作ではエイリアンを人間社会に合流させるメディウムとして使われている印象で、個人的にはあくまでもこれは娯楽作品だという認識を強く持った
- それよりもむしろ主人公の変身の葛藤と、種族の壁を超えていくまでの過程の描き方に、このストーリーの矜持があるのではないだろうか
- 作品の成り立ち的にもすごく短編的で、ブロムカンプの温もりを感じる作品だった
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