半兵衛

革命児サパタの半兵衛のレビュー・感想・評価

革命児サパタ(1952年製作の映画)
3.0
20世紀初頭のメキシコを舞台にしての圧政に対して立ち上がる主人公たちの革命ドラマをメインにした前半はそれなりに面白かったけれど、後半革命は成功して大統領になった主人公が政治の理想と現実に苦悩していく展開を長々とやってしまっているので映画というより政治劇の様相を呈してつまらなくなってしまう。兄弟の殺害や仲間の裏切りなど面白くなりそうなポイントはあるんだけれどテンポが重苦しいので今一つ弾けていない。

それでも公開当時アカデミー賞をはじめとして高く評価されたのは世界の映画人たちが注目していた若手のマーロン・ブランドがメキシコ人を熱演したことが大きいのだろうなと思ったりもする、実際政治ドラマの構成を銘打っている割にはブランドの演技に比重を置いている印象でよく言えばそれだけブランドという役者に監督やスタッフが信頼していた(悪く言えば頼りっぱなし)のだろう。

それでも前半農民だったサパタが受けた屈辱を革命に成功した主人公が農民にやってしまう場面や、農民のために戦っていたが警察に捕らわれた主人公を見ていた市民が今まで政治の横暴で溜め込んでいた不満を徐々に爆発させていく様子を音などで巧みに表現して一斉蜂起していく演出など随所に光るものがあるので見ごたえはあった。

でも個人的にはいつもの表情を出さない演技で悩んでばかりいるブランドよりも、彼の兄役で乱暴で粗野だが主人公たちが理想ばかり追い求めた結果実が取れなくなり生活が苦しくなってしまったことへ怒りをぶつけたりみんなでダンスするときの愛嬌や女と寝るときの人間臭さで魅力的だったアンソニー・クインのほうが好みだったりする。
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