ほーりー

革命児サパタのほーりーのレビュー・感想・評価

革命児サパタ(1952年製作の映画)
3.4
エリア・カザン監督の「欲望という名の電車」で鮮烈な印象を残したマーロン・ブランドが再びカザンと組んだのが本作。

亡くなった笑点の司会者だった圓楽師匠は、どういう訳か背広の裏地に“革命児サパタ”という刺繍を入れていたそうな。よほど好きだったんだろうな…ちょっと痛いけど。

いつの世も圧政に苦しむ貧しき民はいるもので、そんな時に必ずと言っていいほど、救世主のような人物が登場する。本作では20世紀初頭のメキシコ革命時に革命軍リーダーとして活躍したエミリアーノ・サパタの半生を描いた作品である。

「ゴッドファーザー」でもそうだが、マーロン・ブランドっていう人は結構、特殊メイクで演じている作品が多く、本作もかなり濃いメイクでメキシコ人を演じている(もっともこの数年後にブランドは日本人役も挑戦している)。

革命軍を率いて農民を圧政から解放し、頂点に上り詰めるサパタであったが、同志だった兄(アンソニー・クイン)との確執や仲間の裏切りにあい、最後は非業の死を遂げる…といったようにこの手の映画の王道のようなストーリーである。ラストシーンも語り継がれるだけあって、鮮烈な名シーンではある。

だがこの作品、今一つ盛り上げに欠ける印象を受ける。というのも見せ場であるエピソードをほとんど会話で説明してしまっているので、まるで大河ドラマの総集編を見させられている印象を受ける。
たとえば義経だったら、五条大橋や八艘飛びのようなエピソードが物語を面白くさせるのであって、それを映像として描かない姿勢というのはどうも合点がいかない。

また、文盲であるサパタがジーン・ピータース扮する妻から文字の手ほどきをしてもらうというシーンがある。それ自体は問題ないのだが、それがその後の展開にあまり活かされていないのも勿体ないように思う。ちなみに史実でのサパタは最初から普通に字の読み書きができたそうな。

本作ではクインがオスカーの助演男優賞を見事獲得している。ちなみにクインの両親ともにメキシコ人で、実際に父親はメキシコ革命に参加しているので、本作はまさにピッタリの配役だったのである。
ほーりー

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