日活などで量産されていた殺し屋映画のパロディのはずが、寺山修司によるぶっ飛びすぎた脚本のせいで違う次元のアバンギャルドな作品に。そのせいかあまり笑えないけど。どちらかと言うと後年の大和屋竺や鈴木清順作品に近いかもしれない。
この時期の松竹らしい二枚目や歌手などまったく殺し屋に見えない役者がヒットマンを演じるのが逆にポップな雰囲気を盛り上げる、特に平尾昌晃のあまりにもなよなよしすぎた殺し屋は必見。
肝心のヒロインである岩下志麻は殺し屋ではないためか単にいるだけの存在になっているのが惜しいが、その分岩下を狙う殺し屋メンバーの一人炎加世子が存在感を見せる。彼女は岩下を助ける川津祐介に惚れ、仲間を裏切り川津とともに戦う。しかし川津が岩下に惚れていることに気づき、戦いが終わったあと彼のもとを離れていく。ラストの炎の「初恋なんて信じない」という悲痛な台詞と表情がいつまでも尾を引くけど、作品のバランスがいびつになっても少女を描こうとするのが寺山らしい。
突然殺し屋メンバーが脈絡もなく競馬場に行くのも寺山イズムを感じさせる。