あなぐらむ

夕陽に赤い俺の顔のあなぐらむのレビュー・感想・評価

夕陽に赤い俺の顔(1961年製作の映画)
3.7
「殺しの烙印」のずっと前に、若干25歳の寺山修司が書いた殺し屋大集合な犯罪喜劇。
殺し屋グループの面々が岡本喜八的で、山本直純ジャズとポップな色使いが楽しい娯楽作品…なのだが日活アクションへのパロディにも思える。岩下志麻ちゃんもウインクの大サービス。
真っ赤な麦わら帽の女殺し屋に扮する炎加世((加代子表記)がキュートに躍り、歌まで披露、平尾昌晃はおネエなジャズマン、大卒の合理派インテリ殺し屋は渡辺文雄(笑)。
川津祐介のヒーローぶりも爽やかに、舞台的な背景、篠田らしい視覚合成を使った遊びとキッチュなガジェット感満載の好篇。
見るとなんで篠田正浩は松竹に居たんだろう?って思う。いいセンスしてるのに。
邦画で数少ない視覚効果を巧く使える監督さんでもある。本作では写真の中の志麻ちゃんが(合成処理で動き出し)ウインクする。「夜叉ヶ池」や「槍の権佐」を見ても、そういう事をやりたい人だと思う。
殺し屋たちはみなどこかのグループに属していて、エージェントが土建屋や生命保険会社に御用聞きに行って仕事を持ってくるという設定。誰が一番か常に順位争いをしてて、渡辺文雄が「我々も近代化して組合の設立を」とか言っちゃうのが松竹流というか。