イチロヲ

夕陽に赤い俺の顔のイチロヲのレビュー・感想・評価

夕陽に赤い俺の顔(1961年製作の映画)
3.5
下町の殺し屋グループに迎合された狙撃手の男(川津祐介)が、悪事に嵌められた女性(岩下志麻)の復讐行為を肩代わりする。シナリオ作家時代の寺山修司が脚本を担当している、アクション・コメディ。

1960年代初頭のポップ・カルチャーを織り込みながら、殺し屋稼業のピカレスク・ロマンが描かれていく。前衛ファッションやミュージカル演出をふんだんに採用しており、デタラメ感を楽しむための娯楽路線に振り切っている。

登場する殺し屋グループは、出自と性格が異なっている男女8人組。紅一点、炎加世子のヤサグレ具合が魅力的であり、寺山脚本のセンスが光っている。また、後の大物俳優によりチーム編成されているため、若々しい演技合戦を楽しむこともできる。

殺し屋がまったく忍んでおらず、リアリティ皆無のアクションが連発するが、おそらく恣意的なものだと思われる。「いやぁ、またしても人を殺しちゃいましたよ」という自慢話が、あたりまえのように交わされる世界観が笑いどころ。
イチロヲ

イチロヲ