櫻イミト

令嬢ジュリーの櫻イミトのレビュー・感想・評価

令嬢ジュリー(1951年製作の映画)
3.5
ベルイマンの先輩格であるアルフ・シェールベイ監督が「もだえ」(1944・脚本ベルイマン)に次いで2回目のカンヌ・グランプリを受賞した作品。

スウェーデン、白夜祭の狂騒の中で伯爵の娘ジュリーと召使いで色男のジャンが一夜を共にすることになる。ジュリーは自らの生い立ちと母の呪縛を語り始める。。。

有名な戯曲の映画化だが、演出も映像も工夫が凝らしてあり面白かった。回想シーンへの切り替えがワンカットのうちに行われ、過去が現在と密接につながっていることを表わしている。そして終盤には過去が現在に侵食してくる。伯爵と召使、男と女という当時では逃れ難い身分違いの因縁を、本作では悪しき呪いとして描き、暗に批判している。

ベルイマン監督がシェールベイ監督から影響を受けていることがよくわかる名作。カンヌでは「忘れられた人々」をおさえてのグランプリ受賞だった。
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