ABBAッキオ

「A」のABBAッキオのレビュー・感想・評価

「A」(1998年製作の映画)
3.9
 1998年森達也監督。ドキュメンタリー作品として非常に著名。オウム真理教の麻原以下主要幹部が逮捕された後のオウム教団に密着し、その日常を描く。1996年頃のオウムの姿であり、中心は荒木浩氏。ただしオウム教団の内部よりもオウムと他者、特にマスコミ、警察、地域住民とのやりとりが映像に残されているのが特徴だろう。何とか教団の取材をしようとしつこく攻勢をかけてくるマスコミも、いざ映像が放映されるとその内容について抗議を申し込もうとする荒木氏に冷たい対応を示す。警察は職質をかけ、もみあっているうちにでっち上げに近い公務執行妨害を理由に1人を逮捕するがその模様を森たちのカメラがとっていた。無実の人間が起訴されるのを防ぐために森がその映像を提供するのかどうかが問われる局面があり、結局森は映像を弁護士に供託する形をとった。
 現場に食い込み、映像を撮り続けるジャーナリストは、対象にどの程度関われるのか、また関わるべきかについて常に悩みがある。その点を正面から本作品は扱っている点でドキュメンタリーとして特異な作品だろう。
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