miho

「A」のmihoのネタバレレビュー・内容・結末

「A」(1998年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

福田村事件から来ました。

オウム真理教については「サリン事件を起こした怖い宗教」以外に何の知識もなかった私だけど、広報部長の荒木さん、純朴で真面目で頭の良い青年という感じで、好感を持ってしまった。なんか可愛いし素敵。
猫と戯れてる絵なんて昔の渋谷系のミュージックビデオみたいで笑ってしまった。
一方で失礼なマスコミに対しては毅然とした態度。
まぁ、だからオウムはこういう魅力のある人を広報部長にしたんだろうなと思った。

カルト宗教のレッテル貼りを一度してしまうと、洗脳されているヤバい人たち、理屈の通じない人たちのイメージで最初から見てしまう。
だから案外、内部の人たちが、自分たちがどう思われているかを分かっていたり、客観視できているところを意外に感じた。
その他の人たちも良い意味で普通な人が多そう。

仏教やキリスト教特有の宗教儀式を見聞きした時、まあそれで心が救われるなら良いんじゃないの、信教の自由だし、と特になんとも思わないのに、オウム真理教のそれとなると反射的に排斥的なことや人格否定的なことを言ってしまいそうになる自分の偏見にも気づいた。

教団が起こした事件そのものは全く許されることではないけど、同じ教団とはいえ違う人間だし、本当にこの人たちの与り知らぬところであの地下鉄の事件は起きたのだとしたら、この人たちを責め続けたりバッシングしたりするのは、加害者家族への嫌がらせだったり、昔の世代の人たちが他国に対してやったことに対していつまでも罪の意識を持たされつづけている今の日本の私たちと重なった。
miho

miho