あかるい

「A」のあかるいのレビュー・感想・評価

「A」(1998年製作の映画)
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麻原逮捕後のオウム内部のドキュメンタリー。
人間じゃないと罵られているオウム信者があまりにも人間でハッとさせられる。

教祖交代の記者会見で彼らを罵る記者や、道端で職質をする警察官が彼らに使う言葉が稚拙で、態度も悪い。(ものすごく悪くて、意地悪)
いじめてもいい悪の集団と思って乱暴に接する群衆のほうがよっぽど醜悪に感じた。

一方で、わたしもああいうふうに、自分の正義を過信して(盲信?)みっともなく人を罵ることがあるかも思うと落ち込む。
集団にいると善悪の判断が危うくなるのだろうかと友人に言われて、そうかも!と思った。



信仰の果てに殺人があったことは絶対に肯定できない上で、そこに属する人が必ずしも悪とは限らない。
麻原を盲信していた者たちの中には、信じていた者の裏切りを半信半疑でありながらかなりショックを受けているように見えた。



オウム信者は、たまたま信じたものが宗教だっただけだと思う。
自分の正義を信じて、オウム信者を貶める人たちもいる。
信じることって怖いなと思った。
信じるものがあったとしても、自分の中で問いを失ったらおしまいだと思った。

過去、日本国政府を信じて戦争を肯定した歴史が我が国にはあるし。
天皇を神だと言われて信じていた歴史もあるし。
人がなにかを信じて、信じたものが実は良いものではなかったですなんて話、きっとこれからの私の人生にもあり得るし。気をつけないと、無意識のうちに誰かを加害してしまう存在だと思い知らされた。絶望かも!
あかるい

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