冒頭、女性カウンセラーから精神分析されるボンド。続いてジュディ・デンチ演じるMに「セクシストでミソジニストの恐竜」と一蹴されるボンド。それ以外にも今回初登場のブロスナンボンドは気の強い女性に怒られ締められまくります。
そのたびにヘラヘラと笑って誤魔化して強引なキスで有耶無耶にするボンド。
五月蝿い女が何を言っても俺は変わらないぜという絶滅危惧生物の時代錯誤な矜持。
それは昨今のハラスメントに対しての視線に「下ネタひとつ許されないつまらない世の中になった。世の中がうるさくなっただけで、俺はセクハラじゃない」というスタンスの中年と通じるものがある。
ジェームズ・ボンドというキャラクターの問題が既に浮き彫りになっていたのに、90年代はまだこういう仕草が許されていたのだなあとしみじみ。