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007/ゴールデンアイのmimagordonのレビュー・感想・評価

007/ゴールデンアイ(1995年製作の映画)
4.6
ピアース・ブロスナンのボンドは、コネリー・ボンドのもつ無骨さと色気、小粋なユーモアにダルトン・ボンドの生々しさを絶妙にブレンドした、新時代のボンド像の幕開けだ。アクションはよりリアルに、スタントも激しく、これまでの007シリーズにあった劇画的な描写からよりスタイリッシュな演出に。しかし街やらなにやら破壊の量は増し増しで、後のクレイグ・ボンドにも通ずる90年代以降のいわゆる「ブロックバスター」な作品に仕上がっている。
私は小学生の頃、ゴールデンタイムの洋画劇場でブロスナン・ボンドをよく見て育ったので、一番慣れ親しんでおり思い入れも強い。そんな彼の魅力は「クールさ」かもしれない。ポーカーフェイスが崩れないのだ。対する悪役を演じるのはショーン・ビーン。こういう冷徹なキャラクターが最高に似合う。かつては仲間だったボンドと対峙するという設定もヴィランとしての印象を強めている。そして何よりボンド・ガールのイメージが時代に合わせしっかりアップデートされている。まずボンド・ガールの前に007の上司Mが女性で演じるのはジュディ・デンチ。今作では出番は少ないがその複雑な人物像を的確に描いている。ボンドを助けるナターリャの生存力と使命感はボンドのそれと通ずるし、ファムケ・ヤンセン演じる殺しが性癖というゼニアの身体能力とスマートさ、そして危ない色気は、殺すことで生き延びるボンドと彼の生存能力、そしてもちろんスパイとしての危ない色気とも通ずるのだ。時代の変化と共に娯楽大作のあり方も変わる。ブロスナン・ボンド、華麗なる登場だ。
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