菩薩

生まれかわった為五郎の菩薩のレビュー・感想・評価

生まれかわった為五郎(1972年製作の映画)
4.0
シリーズ初見なのでなんとも言い難いが、生まれかわった…と言いいつ森崎東の作家性をもって為五郎のキャラを殺しにかかってるのでは…?寅さんが48作続いたのに対し為五郎がこの5作目で終わったのもそういう事なのか?寅さんも旅の起点は上野駅だし、蒸発する者(柄本明)だっているし、ヤクザな稼業である事には変わりないが、ただ「男はつらいよ」が常にマスに目を向けていたのに対し、森崎東の視線はやはりコアに向いている、マス対コアって言いたいだけだけど。「男はつらいよ」であれば財津一郎は絶対に家族の元に帰ってそれでめでたしめでたしで終わるが、この作品は二人して新たな道に向かって歩き出すし、ハナ肇の背中には渥美清の背中に張り付く「名残」と呼ぶべき物がまるでない。小便に始まり小便を通過し小便に終わる、ただそんな物よりももっと「汚らしいもの」に対する闘争意識、そして闘う者達の連帯。のり平襲撃のシーンなんて『ゴッドファーザー』始まるかと思ったら、その後のカオスに爆笑する。にしたってこの魔子ちゃんの可愛さは悪魔的だ。鳥目の魔子ちゃんが手探りで電球を探り当てようとする阿波踊りみたいな姿勢、自らの体温を用いてのザオリク、歩道橋渡ってるともれなく飛び降りたくなるし、駅のホーム歩いてると飛び降りたくなる、けど俺はまだ生きてるぞ…。
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