三隅炎雄

仁義と抗争の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

仁義と抗争(1977年製作の映画)
3.7
脚本の高田宏治としては『まむしの兄弟』系列の作品で、ヒットマンもののパロディ仕様、どうもこの実録路線調のタイトルで損をしているようだ。注目点は松方の女房役の松本留美をはじめとするパワフルな女達の存在で、これが高田が脚本を担当した後の『極道の妻たち』へと繋がっていくのが分かる。『日本の首領』と同年、東映やくざ映画が衰退しひとつの節目を迎えようとしている時期の映画なので『まむしの兄弟』ような鋭い批評性はどうしても持ち得ないのだけれど、松方の明るい個性はじゅうぶん生きているし、脇の役者も充実していて楽しめる。やくざの幹部宍戸錠にヒットマン松方がこき使われるといったひねくれた設定で分かるように、基本おふざけ映画で、松尾演出はこの後の実録抗争映画『沖縄10年戦争』よりずっと生き生きとしている。
三隅炎雄

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