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父よ
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『父よ』に投稿された感想・評価

ジャック・ベッケルの「穴」の原作者で、実際に裏社会に生きて死刑囚となったジョゼ・ジョヴァンニ自身が脚本、監督した自伝的遺作。長年折り合いのつかなかった父が息子の殺人の無実を訴え奔走し、恩赦で釈放されるまでの10年間の父子の不器用な関係を淡々と描いている。

<ジョゼ・ジョヴァンニの隠蔽してきた実際の犯罪と絡めたレビューなので、以下長文です。>

父に名優のブリュノ・クレメール。息子マニュはヴァンサン・ルクール。

父は何年も、刑務所の前のカフェに通いつめて情報を集め、関係者に会い、奔走するが、決して息子には自分が何をしているか言わない。面会も言葉少なく、見つめるだけ。父の悲哀と後悔と自分自身への怒りが全身からにじみ出ている。凄みを感じた。

カフェには、看守をはじめ刑務所の職員や死刑執行人がやってくる。当時のフランスはギロチンだった(死刑廃止される1981年まで)。釈放された家族たちの心情と人間模様がカフェで展開される。

死刑囚が日々どんな心持ちでいるのか、他の死刑囚との関係、看守との心の交流が冷静に描かれるが、終始重苦しい。死刑囚へ感情移入しないように自制している看守もまた痛ましかった。

父と息子がどこで関係がつまずいたのかは描かれていない。博徒の父はホテル経営をし、裕福な暮らしをしていたが、裏で営んでいた違法カジノが摘発され、逮捕。それから暮らしが傾いた。

母もまたギャンブラーで、ギャンブルの新しい仕組みを計算して(マルチンゲールという確率論だそう)作り上げて販売していた。母の兄(伯父)は詐欺師でマフィア。

金銭感覚と倫理観の薄れた家庭で、豊かな暮らしで教育も受けていた子どもたちだが、兄とともに弟マニュもギャングになっていった。

このような家庭環境であり、殺人には直接に関わっていないと述べているが、非常に粗暴で反抗的に描かれている。
強盗、脅迫等の重犯罪を犯しているにもかかわらず、家族含め誰一人、罪悪感も反省も表さない。父が子育ての失敗を被害者に話すシーンが唯一。

「穴」同様に乾いたタッチで、非情な世界に生きた男の視点はただ状況を克明に描写するだけ。そして自身の弱さや心の中を決して明らかにしない。まさにハードボイルドの世界。

父の弱さを露呈し、自身は犯罪への関与はなかったことを父の口から言い訳する。正直、そら恐ろしかった。(投獄前はゲシュタポ協力者で、さまざまな殺人事件、強盗事件に関与していたことが現在は明らかにされている。ユダヤ人を恐喝し金銭を巻き上げるがゲシュタポに通報。制服で偽せ軍人になりすまし闇商人を拷問し金銭巻き上げの末に殺害等、)

この冷酷な視点が釈放後に小説家として人気を博し、さまざまなマフィア、犯罪映画の原作に起用されていった。

珍しく邦題がシンプルでいい。原題は「父は私の命を救ってくれた」。犯罪をこれ以上重ねず、文筆家として才能を開花させてくれたことへの感謝の気持ちであろうが、遺作として、綺麗にまとめ過ぎている。最後まで冷酷な犯罪者のまま、後悔も反省もしない、ただ者ではなかった。


余分を削ぎとったようにみえるが、知りたいのは「余分」の方の人間の迷いと真実だ。
ジャック・ベッケル監督「穴」の原作者が、投獄された実体験と父との記憶を基に映画にした「父よ」。間違って「穴よ」と言いそうにすらなる。ただ、淡々としたストーリーテリングが終盤に向けてだんだんエモーショナルになっていくのは、なかなか見応えがあった。
賭博で生計を立てる父が、死刑執行を待つ息子の命を救うため立ち上がる。長らく父を軽蔑していた息子が、父の姿を見て、しだいに自分自身を恥じるようになっていく。父よ、ありがとう。

ただ映画として優れていたのは圧倒的に、



穴よ
父と子。
名作ジャックベッケルの『穴』という脱獄映画のもう一つの物語。
ジャッグベッケルの穴は、音と映像の芸術そのものでしたが、こちらは、正直平凡でしょう。
にしてもだ、安っぽ〜い感動ストーリーに陥ることなく淡々と進んでいく 父よ は、ニューシネマパラダイスのような、感動があった。
そして、『チャオパンタン』のようないぶし銀な終わり方。
なんか、ソウルを感じたね。

これは、穴の原作者の実話。
穴と併せてご鑑賞ください。
穴の音は、凄い。

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