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300 <スリーハンドレッド>のtsubasaのレビュー・感想・評価

3.5
『300人 VS 1,000,000人 真っ向勝負!』

フランク・ミラー原作のグラフィックノベル『300』を元に2006年に公開された作品。全米では初登場第一位を記録した大ヒット映画であり、華麗な肉体美と美しい映像でペルシア戦争のテルモピュライの戦いご描かれている。矢の雨を高笑いしながら受けるシーンがかっこよい!

なんといっても熱い男たちの肉体美と見るものを引き付ける映像技法(スローモーション等)が芸術的。
この映画は全編を通してロケは一切なしでCGを駆使して製作されていて、1つ1つのシーンにこだわりの「美」を意識していると感じさせてくれる。どのカットを切り取っても一幅の絵になるような美しさが見どころの一つかと。特に戦いのシーンなどは、独特のセピア色がかった映像で、スパルタ軍の真っ赤なマントや戦いでほとばしる血がより印象的。

これは原作のグラフィック・ノベルの世界観を忠実に再現した結果だとか。背景はもちろん、血しぶきや天候まですべてCGで再現。背景などをCGで表現することは現代の映画においてはすでに常識ともいえるが、ほとんどの場合、実際の風景に似せることを目的としているものですが、この映画はリアリティの追求ではなく、幻想的で芸術的な背景を追求した結果といえる。
そもそも原作がグラフィック・コミックなので、血しぶきの上がり方や人物の戦闘姿勢、抽象的で誇張された風景など、忠実に再現しようとすればCGでなくては不可能。映画全編にわたってセピアがかった独特の色合いなのも、コミックのモノトーンタッチを忠実に再現した結果かと。1シーンの血しぶきの形をスキャンし、忠実にCGに落とし込む徹底ぶりというから驚き!!
欧米人気に対して日本では酷評の理由の推察だが、やはり1番はアメコミの浸透差だと。今でこそMCU等の魅力が日本にも広がっているが、2000年代ではそこまで。
アメリカではアメコミが浸透していて、当然そのアメコミ作品を知って劇場に足を運んでいるでしょうから、評価はグラフィックノベル作品との類似性や世界感の再現力が主になる。
日本ではグラフィックノベルが原作であるという情報があっても、アメコミが浸透してないからアクションやストーリーの評価が主になる。
今作品、アクションは言わずもがなだけど、ストーリーに関しては結構な矛盾点やご都合主義(町に突如現れたでかい穴とか)が多いからそこで悪評価に触れたのかと。
長々書いたけど、続編(スピンオフ作品)は未鑑賞なのですぐにでも鑑賞する予定!
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