南森まち

300 <スリーハンドレッド>の南森まちのレビュー・感想・評価

1.1
ギリシアの都市国家スパルタに攻めてくる大国ペルシア。迎え撃つ300人の勇士達が奮戦する…というお話。

史実の「テルモピュライの戦い」をモチーフにした作品。
だが、残念ながら内容を語る前に、露骨な表現に嫌悪をおぼえた。史実の戦争を舞台にしているのに、一方を美化し、もう一方を醜悪な化け物として描く表現が受け入れられない。

仇役として扱われるクセルクセス王は、エジプトからインドまで支配した中東を代表した歴史上の実在人物。そんな彼の兵士たちが醜い化け物たちとして描かれる。
両腕が武器になって首輪をされた豚みたいな男、どんな怪我をしても平気で奇声をあげて大暴れする大巨人、背がコブになった男…などが出てくる。
それに対するのはイギリス人を中心としたイケメンマッチョの俳優陣。

そして戦闘シーンが始まると、イケメン俳優たちがみにくいアジア人たちを、バッサバッサと切り倒し、腕が飛び首が飛ぶ。そしてナレーション。
「野蛮な吠え声。そこで我々が見たものは帝国の闇の奥から吐き出された醜き野獣。アジア全土から100もの国が我々に襲い掛かってきた。」
あ~…アジアは醜い怪物たちが跋扈してる闇の奥なんですね…ハイ

そして中盤、仲間の一人が殺されるシーンは、非常に悲劇的に描かれてみんな号泣する。
お前ら敵兵はあんなに愉しそうに切り殺してたやん…もう何にも言えねえ。

映画表現としてはセットは豪華絢爛。しかしやたらアクションにスローモーションを多用する暴力シーンを羅列する映画でした。セリフで言う「ウン万人」という人数の割に小規模な戦闘表現しかない。

私には受け入れられなかったですが、血沸き肉躍るアクションが好きな人は好きなのかもしれないです…。
対中東のプロパガンダなのかなぁ…2007年にこういう事やるんだ…