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300 <スリーハンドレッド>の綯綯のレビュー・感想・評価

3.8








『力こそパワー』














アケメネス朝ペルシアが侵略と征服を繰り返す時代、法を破ってまで進軍しちゃう、男気あふれる300のスパルタクス。

歴史的名戦として知られるテルモピュライの戦い、特にスパルタの戦士王レオナイダスを題材とした典型的な英雄譚。それにヌルヌルVFXをこれでもかと注ぎ込んだ、戦いの映像美を楽しめる映画です。

ある意味、武士の魂みたいなノリを捨てきれない、戦士の精神を描いた作品。37分頃の美しい死への美徳と、それにドン引きの近所の軍人、すき。

職業軍人からなるスパルタと、壺屋とか彫刻家が徴兵された近所の軍。歴史的観点からも面白い作品。高校生にぜひ。

神官を金浸しにする黒人の目が闇に浮かぶ演出は、どこまで実写でどこまでCGレタッチなのか。いずれにせよ良い演出だ。

背虫男の裏切り。
テルモピュライ開戦。
みんな大好きエクストリームバトルシーン。
クセルクセス王のデザインとタッパ、結構すきだ。

闇の軍団的なやつら、ディモーターズ登場。わざわざ死体の壁を押す必要性とは。
馬場みたいな大男との一戦は、なんだかアンデッドものの雰囲気を帯びてます。

色んな敵の登場。
カッコいいサイなのに、噛ませ犬。
魔術師戦のときのスパルタクスの美脚は見ものです(キラキラキラってSEが入っていて、もはやバトル魔法少女の登場シーンのよう)。
ペルシア司令官を処刑する、カマキリデブ。いいデザインですね。
ゾウさん戦、アジア人戦。
首を切られた息子が倒れるシーン、シュールレアリズム系の美を感じる。

敗色の気配に、近所の国が引き下がり、スパルタクスの中でも離脱者が。プロットとして必要なんだろうが、ちょっと興醒める。
だからこそこの辺は、政治シーンでの王女の振る舞いが一番面白いです。引き下がるかと思いきや、剣を奪って政治家を刺し殺しちゃう。勝ち気ママ。

ラストバトル。
スパルタクスのウニの構え、よき。
クセルクセスの鼻を明かす
It's an honor, to die at your side.
It's an honor, to have lived at yours.
死ぬ間際の兵との対句が美しい。筋肉たちの同胞への熱い魂が見てとれるシーン。

空を覆う矢がレオナイダスを襲い、彼の壮絶な死で幕を閉じます。筋肉キャラが終止奥さんのことを思うところ、すき。
『我々の死を忘れるな』
ラストシーンの腕を広げるレオナイダス。ちょっとキリスト教的的な要素を意識してるのかな?

最後は、スパルタ-ギリシア連合軍がクセルクセス軍を退けた、プラタイアイの戦いへ。
『世界を神秘主義と暴君から救うのだ』
何だか説教臭いおわり方。ただ、レオナイダスの英雄性がより映える場面だと言えます。

総評として、最初から最後まで緩急があって面白いアクション映画。頭を空にして見るにも、歴史的背景から注視するにも、よくよく楽しめます。
味、濃いめ。
臭い、強め。
濃淡、キツめ。
そんなトンコツラーメンのようなアクの強い映画でした。

スピンオフ続編では王女がバトっちゃうと聞いて、今からガン萎えです!
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