淡々とした、青春ロードムービー。リヴァー・フェニックスとキアヌ・リーヴスという美青年が演じる男娼の関係は、「風と木の詩」的な同性愛をテーマにした少女漫画──いわゆるBLの儚い美しさがある。
★リヴァーの演じる主人公は、ゴロツキの下で働く男娼。親友キアヌに密かな想いを抱いている。持病として、ストレスで急に眠りにつくナルコレプシーを抱える。親とは複雑な関係。母親を捜しキアヌとイタリアに旅立つが、会えずじまい。おまけに好きなキアヌは女とよろしくやって更生。彼は独りとなる。後にドラッグで夭折する役者だと知っているだけに、その儚さは一層。
★キアヌの役も男娼だが、別にゲイではなく、親が名士で財産が転がり込んでくるのは明白なので若さゆえの反抗と割り切ってゴロを巻いていた。そして、リヴァーの母親捜しの旅先で出会った女子と良い仲になって身を固め、三つ揃いの背広を纏って社交界デビュー。ゴロツキの親玉に背を向けたまま過去を切り捨てて、父親の葬儀の裏で騒ぎ立てるゴロツキたちの声に素知らぬ顔を続ける彼の姿は印象的だ。
★美形主役二人にかまけて無軌道な青春をゴロンと転がして見せるだけの退屈で粗削りな映画で一時間位はどうでもいい光景がダラダラ続くかも。だが、彼らの雰囲気は切々と胸を打つ。