石口

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けの石口のレビュー・感想・評価

4.0
宇野重吉の変人キャラで引っ張る前半から寅の恋愛話にスライドしていく展開に引き込まれ、気づいたら太地喜和子の純情な思いの吐露に泣かされてしまっていた。凄い。この物語の構築力は見事すぎる。

とらやの場面では寅とタコ社長(太宰久雄)が大喧嘩して周りが止めに入るというお決まりのパターンが繰り返されて楽しいのだが、一本気で激情タイプの寅と冷静な博(前田吟)の対照的な描き方もとてもいい。

本作は寅の失恋を描いてないところがまた異色で、なんなら彼の恋が成就したとも受け取れる終わり方になっている。このラストの爽快感を伴う感動はシリーズの中でも傑出している。誰もが知るように「男はつらいよ」は以降も続いていくってことをあえて無視して言うなら、これはもう成就していてほしい。太地演じるぼたんと寅のカップル。あまりに素敵じゃないか!
石口

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