1960年の映画なのだけど、戦争の悲惨さを静かに描いた作品にも見えるし、人は真実がどうだろうと信じたいように信じるのだという悲しい人間の話にも思えた。
普段は無愛想っぽいのに、アルベール・ラングロワらしきホームレスへの近づき方が優しさとウキウキに満ちているアリダ・ヴァリ。美しいモノクロのパリの川沿い。なんてことない描写にいちいち魅入ってしまう。
アリダ・ヴァリが友人経由のオペラとブルーチーズと草むらの思い出という曖昧な類推で夫であると思っているのに対し、親戚二人の冷静なスタンス。
それでもあの夜のダンスとオペラを二人並んで口ずさむ幸福感よ。
ラストもあんな感じでふわっとさせるのが大人っぽいよなあと思いながらGYAO!で鑑賞しました。