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かくも長き不在のペジオのレビュー・感想・評価

かくも長き不在(1960年製作の映画)
4.1
わたしの愛するわたしを愛したあなた

戦争の爪痕が怖い
希望という絶望が怖い
狂気染みた愛の圧が怖い
代用品を求め続ける女が怖い
主演の女優さんの顔面と体型が怖い

フェードアウトとフェードインを繰り返すラスト(その前のカフェの中を回るように撮った長回しも好き)
不意に浮き出る迫力満点のアリダ・ヴァリの顔面を見て、何故か「サンセット大通り」のラストを「思い出した」
「女の業」というか、何というか…

「愛を向ける相手が不在でも愛は変わらずそこにある」
素敵に聞こえるが、もしかしたらその愛は最初から「対象」を必要としていなかったのかもしれない
言い方を変えれば、その愛は最初から「自分」に向けられていたのかもしれない(「思い出した」のは「千年女優」だった。)

「あなた」は「いない」のか、それとも「いらない」のか…

「次は上手くやる…」ともとれるラストの台詞が空恐ろしい

勿論「ラブストーリー」としても「反戦映画」としても観ることは可能だ(そう観ても充分に一級品の映画である。)
だが僕は「愛深き女の正体とその恐ろしさ」を描いた「ホラー」としても観た
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