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危険なささやきのodyssのレビュー・感想・評価

危険なささやき(1981年製作の映画)
2.0
【アラン・ドロンに監督は無理?】

アラン・ドロンが主演に加えて監督までやっている映画ですが、うーん、監督としての才能はないんじゃないかな。

かつては警察に勤めていて今は私立探偵事務所を開業している中年男(アラン・ドロン)が、盲目の娘が失踪したという婦人の依頼を受けて捜査に乗り出すのですが、とちゅうで依頼人の婦人は殺されてしまい、さらにはかつての同僚がいる警察内部の動きにも不審な点が・・・・というふうに話は進みます。

色々難点があるのですが、根本的なところで、筋書きが込み入っていて、色々な人物が次ぎ次ぎと出てくるので、観客としても内容を理解しながら追っていくのが非常に大変なこと。ハードボイルド映画は、もう少しすっきりと、悪と善とが峻別できるような構成にしなくてはなりません。

また、主人公には美人秘書がいて愛人でもあるのですが、この設定が陳腐。というか、かなり都合のいい使われ方をしていて、一度は悪人にさらわれて全裸にされ強姦されそうなところを救われるという、わくわくものの設定もあるけれど、なんか盛り上がらない。この役を演じるアンヌ・パリローが、美人ではあるけれどセクシーさが足りないせいもあるかもしれません。

何より、全体の筋書きが平板で、じりじりと盛り上がって観客をひきつけていくところがないのが、ダメ。川に喩えれば、まっすぐゆっくり一定の速度で流れていて、何の変哲もないという感じ。この種の映画がこれじゃいけませんね。
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