男が二人で街を歩くと女をナンパする。ジャック・ロジェの『ブルー・ジーンズ』やジャン=ピエール・モッキーの『今晩おひま?』なんてのも同じ設定で、展開がぐだぐだなところも同じ。本作だと、ナンパした女が失業中のシングルマザーで(子どもはどこに預けているのか?)、ダンスホールに着いてきても二人には気のない様子で、ほかのおっさんからのダンスの誘いには何度も応える、なんてあたりの切ないことよ。そこでサイフを盗んで逃げるとは思わなかった。こうした読めないぐだぐだな展開がスリリング。そして、昼と夜のパリやダンスホールの中の描写は、劇映画の体をしたドキュメンタリー。